蠍座4度「礼拝の儀式で火のついたロウソクを運ぶ若者」

サビアンシンボルにタロットを使って二つのアプローチをしています。一つはサビアンのイメージからスプレッドを作り、カードを引いてリーディングしてみること。これは「その度数におけるその人の発達状態」を読み解く取り組みです。もう一つは度数に対応するカードからサビアンを考察してみることです(対応表はこちら)。

スプレッド

1.若者
2.ロウソク
3.儀式

若者が儀式への参加を通じ、共同体の文化を学んでいる様子です。

若者カードは、この儀式で形成される知性や感情です。

ロウソクは、共同体に魂を込めるシンボル。

儀式は、文化の偉大なイメージを印象づける教育力を示します。

リーディング結果

1.若者:ワンドナイト逆
2.ロウソク:戦車
3.儀式:月

ワンドナイト逆の若者、やる気なし!「なんで俺らがこんなことやんなきゃなんないんだよ」と不貞腐れ気味。あるいは儀式を通じてエゴの克服を学ばされているのかも。

戦車のロウソク、大分燃え上がっている鉄火なシンボル。若者のやる気なさとは裏腹にガンガン行くぜ!という姿勢が象徴されています。

月の儀式。不明瞭であいまい、一貫性はなく、何をやっているのかよくわからない。無意識レベルでの教育。夢見のような儀式。

なにをさせられているのかわからないまま、やる気だけは出せ!みたいに煽られる謎の儀式にテンションダダ下がりの若者。しかし月の儀式にはワンドナイトみたいな勢いがあっては参入できないのかもしれない。そこに戦車のシンボルがあるという矛盾。

解説の要約

ルディア:礼拝の儀式で火のついたロウソクを運ぶ若者 

共同体に魂を込めるいくつかのシンボルがあり、それはその集団特有の文化や生き方を構成し、説明しています。これらのシンボルは、すべての儀式や社会的セレモニー(野球の試合から、英雄の凱旋パレード、宗教儀式まで)に組み込まれています。幼少期や思春期の若者は、集団的な儀式に参加し、「シンボルの力」で知性や感情を形成され、共同体感覚を身につけるのです。彼らはその価値を当然のものと考えますが、ある日、自分の個性を主張したり、前の世代に反発するため、こうした儀式を軽視し、新しい儀式を探し出すかもしれません! 蠍座は特にコミュニケーションを取る人々を根底から結びつける儀式に関係します。それは性の儀式も含まれます。

ジョーンズ:火のついたロウソクを持つ若者

内的・超越的な現実や普遍的な人生と、ささやかな個性の間につながりを認識し続けることによって得られる精神の報酬です。日常生活の細部は、常により高い意味と不滅の価値を証明します。明確なビジョンから生じる熱意が、人間を現実世界で可能な限り持続させます。万物の善性と完全性への文句なしの自信。キーワードは「信頼、信用」。

ルディアは、共同体感覚を育てる儀式とシンボルの力について語っています。ジョーンズは、自分の個性がすぐに消えるロウソクの火(日常生活の細部)のようなささやかなものだとしても、それは常により高い意味や不滅さを証明している。そのつながりを認識し信頼する精神性や熱意が、自分自身を持続させるのだ、と説明しているようです。

タロット対応

この度数のタロット対応は、カップ5(目的)/ワンド9(手段)です。ドデカテモリーは射手座。

目的カードは引き続きカップ5です。感情的なゆさぶり、ショック、インパクトを与えることが目指されます。

その手段となるのはワンド9。伝統的には妨害とそれに対抗する力などを意味します。ワンドは情熱や熱意、精神性、9はより理想的な方向へ向けてこれまでの完成を飛び出していく数字。蠍座3度「家を建てる」はワンド8で、近所の人たちのエネルギーが集中しました。9ではそこから飛び出していく力が働きます。

9の飛び出し力は、これまでもいくつかの度数で見てきました。乙女座17度「火山の噴火」や天秤座22度「噴水」の噴出力、あるいは現在という時間を飛び出す乙女座29度「世代から世代へ受け継がれていく知恵」などです。

ジョーンズの言うような、ロウソクの火という日常的なものから、高い精神性へ飛び出していく。それはカップ5の感情的なゆさぶりを作り出すためです。

この度数に太陽を持つ人物

小説家 半村良

「伝奇ロマン」や「伝奇SF小説」と呼ばれるジャンルを開拓。「戦国自衛隊」などは火(軍隊)が時代を超えて飛び出していくという点でワンド9、それを描くことで読者にカップ5の感情的ゆさぶりをかけようとしている、と読めそうです。

リーディング結果の見直し

ロウソクの火という日常的なものから、高い精神性へ飛ぶ。戦車の突進的な力で、月の無視域・非現実の世界へ精神が飛んでいっている。ワンドナイト逆で自己喪失をするほどに。

みなさんのカード

2度

3度

参考:サビアン研究会Dane Rudhyar「An Astrological Mandala」「The Astrology of Personality」Marc Edmund Jones「The Sabian Symbol In Astrology」アンソニー・ルイス「完全版タロット事典」

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