天秤座29度「世代から世代へと伝達可能な知識に到達するための、人類の広大で永続的な努力」

サビアンシンボルにタロットを使って二つのアプローチをしています。一つはサビアンのイメージからスプレッドを作り、カードを引いてリーディングしてみること。これは「その度数におけるその人の発達状態」を読み解く取り組みです。もう一つは度数に対応するカードからサビアンを考察してみることです(対応表はこちら)。

スプレッド

1.永続的な努力
2.伝達可能な知識

永続的な努力のカードは、広大な文明プロセスへの意識的な参加を示します。

伝達可能な知識のカードは、自分の経験や努力の収穫です。これは個人的な収穫ですが、1の努力や参加によって伝達が可能になっている、と読んでみます。

リーディング結果

1.永続的な努力:ペンタペイジ
2.伝達可能な知識:ワンド7逆

ペンタペイジの永続的な努力。広大な文明プロセスの中ではひよっこ! でも憧れや初々しさを持って、文明プロセスに実際的に参加しようという姿勢。

ワンド7逆の伝達可能な知識。自分の主張を一方的に押し付けるのではない、謙虚さという収穫を、ペンタペイジ的な腰の低さで伝達しようとしているようです。

ワンド7は正位置で24度「蝶の左側の第三の羽」カードとして登場していました。そのとき作り出された自己主張は、ここで抑えられます。

解説の要約

ルディア:世代から世代へと伝達可能な知識に到達するための、人類の広大で永続的な努力 

人間の最も特徴的な性質は、自分の経験や努力の収穫を、まだ生まれていない他の人々に移す能力です。この能力は本能をはるかに超えたもので、未来の人類のための意識、選択、意思、自己犠牲に基づいています。それは共同体の価値を深く感じることによって成り立ち、この能力を使えばその感覚を高め、最終的には孤独を根絶できるのです。人生を真に人間的なものにする、広大な文明プロセスへの意識的な参加です。

ジョーンズ:知識を橋渡ししようとする人類

経験の蓄積や完成された知恵が、世界を構築し、支えています。その経験や知識のために自分自身を実用的な道具にできる能力です。達成や認識への普遍的な欲求があり、あらゆる方向の努力が求められます。自分の推理力を証明するには、そのための機会を持たなければなりません。人類の幸福のための感動的な貢献の才能。キーワードは「合理性」。

タロット対応

この度数のタロット対応はソード4(目的)/ペンタ9(手段)。ドデカテモリーは乙女座です。

引き続きソード4の知的安定、秩序化、パターン化が目指されます。

その手段となるのはペンタ9。ペンタクルは物質的、あるいは経済的、社会的エネルギーを示すスートです。9は8で十分完成された価値の外側へ、まだ見ぬよりよいものを求め飛び出していく数字。ペンタ9は、ペンタ8で完成された物質的な価値、技術、社会を超えた、まだ見ぬところにもっと高い価値がないか確かめに飛び出します。例えばウェイト=スミス版の絵から連想されるのは、ペンタ8で職人の技術が完成したが、そんな人工的なものではなく自然の中にも豊かさがあるのでは、と都市文明を飛び出してみた人、といったイメージ。

9のカードの度数では、天秤座22度「噴水」(ソード4/ソード9)、乙女座17度「火山の噴火」(ペンタ9/カップ9)のように、なにかが「噴出」している様子が描かれているシンボルもありました。ここでのペンタ9もなんらかの噴出だと考えてみることができます。

「世代から世代へと伝達」するのは、時間を超えるということです。ペンタは時間と空間を司るスートでもあります(物質は時間と空間の中でしか存在できません)。ペンタ9は「なにかが完成した現在」を超え、まだ見ぬ未来に向けてペンタクル的エネルギーを噴出させているのだと捉えることができます。

そうであれば、この度数は「時間を超える」以外にも、他のペンタクル的な完成の範疇からの噴出と考えてもいいかもしれません。空間的に完成されたエリアから飛び出す、完成した技術の取扱範囲から飛び出す、あるいは完成された社会的構造、共同体から飛び出す、などです。

時間的、空間的、社会的に完成されたエリアからまだ見ぬところへ飛び出し、さらに価値を高めようとすることで、ソード4の知的安定が目指されている。一つの世代から飛び出して未来へなにかを伝達することは、知的な価値の維持、安定化につながるのです。

この度数に太陽がある人物

小説家アーシュラ・K・ル=グウィン

SF小説「闇の左手」や、「ゲド戦記」のようなファンタジー小説で有名です。彼女の作品には、船や航海のモチーフが好んで使われます(海にしろ、宇宙にしろ)。「ゲド戦記」もたくさんの島が集まってできた多海島(アーキペラゴ)世界が舞台です。また彼女の小説家指南書のタイトル「文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室」からは、ル=グウィンが小説の執筆そのものを航海としてイメージしていることもわかります。

島から島へ航海することは、ある空間的に完成されたエリア(島)から、まだ見ぬ未知の領域へ飛び出していくことだと言えます。執筆そのものが未知への航海なのであれば、それは思考を「小説」へ定着させ、本の形で安定化させることにつながります。

最後の詩集「ここまで上々」にはこんな詩も収められています。

船 そのもの

船 自分

ひとりが

乗組員 自分も

まだ知らない自分の人生

(大久保ゆう訳)

ル=グウィンの人生そのものが、まだ見ぬ自分の人生への航海に例えられているようです。

もちろん、彼女の作品が「世代から世代へと伝達可能な知識に到達」していることに疑いの余地はないでしょう。(参考:「文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室」

リーディング結果の見直し

ここから改めて自分の引いたカードを見てみます。

カードの見た目では、ペイジがワンド7逆に背を向けているため、「そこから飛び出そうとしている」という見立てができます。ペイジは謙虚に、実務的な姿勢で、ワンド7正位置として完成された自己主張やプライドのエリアから飛び出していこうとしている。

みなさんのカード

本日もトライありがとうございました!

26度

27度

28度

参考:サビアン研究会Dane Rudhyar「An Astrological Mandala」「The Astrology of Personality」Marc Edmund Jones「The Sabian Symbol In Astrology」アンソニー・ルイス「完全版タロット事典」