この「サビアンシンボルのタロットワーク」では、サビアンにタロットを使って二つのアプローチをしています。一つはサビアンのビジュアルイメージからスプレッドを作り、実際にカードを引いてリーディングしてみること。これは「その度数におけるその人の発達状態」を読み解く取り組みです。もう一つはその度数に対応するカードから、サビアンシンボルを考察してみることです(対応表はこちらにあります)。
解説の要約
ルディア:雄鶏の声が日の出を告げる
雄鶏が鳴くのは夜明け、東の地平線が最初に色づくときです。孤高の目撃者が新たな日の到来を告げます。宇宙と同調し、現れつつあるものに声を与える能力です。人生のプロセスに対する、創造的で喜びに満ちた反応があります。しかし創造とは、本質を明らかにすることに過ぎず、よく知られたものの中にまだ知られていないものを鮮やかに認識することです。人生の更新は周期的で予測可能でありながら、常に新しく、常に創造的なのです。
ジョーンズ:雄鶏
誠実な洞察や判断により、魂が究極の自己実現を果たします。自分の役割を疑いなく受容し、人生の中で居場所を作ることの永続的な意義。日常生活の特徴をドラマ化することで報酬が得られます。恐れ知らずの自己肯定に、誰もが共感し、忠誠を誓ってくれるでしょう。キーワードは「熱烈、白熱」。
タロット対応
この度数のタロット対応はソード4/ソード10・カップ2。ドデカテモリーは双子座から蟹座へ切り替わるポイント。
21度からの引き続きで、ソード4の知的安定や秩序化が目的です。
手段カードとなるのはソード10とカップ2。ソードからカップへのスートの切り替わり。同時に数字のサイクルは10まで到達し、2へ戻るタイミングです。10から2へ戻ることは、ルディアの言う「人生の周期的な更新」とも関連付けられそうです。夜の時間は最後まで(10まで)来て、再び朝が来る(2に戻る)。カードの絵とサビアンのイメージからは「明けない夜はない」みたいな言葉も浮かびます。
ソード10では、ソードの価値観が完成します。8でもスートの価値は完成しましたが、10の完成はより絶対的なものです。8には9の飛び出す余地もあります。でも10では「全世界がソードになった」ため、どこにも飛び出しようがないところまで来ています。どこまで行ってもソードしかないので、他のものに価値はありません。つまり「ソードのためならそれ以外のものを無視したり犠牲にしても構わない」という意味での絶対なのです。絵ではこれが「ソードのためなら命を犠牲にしても構わない」のように表現されています。これまで思考してきたもの、理念や哲学の絶対的完成や普遍化であり、信仰という理念に殉じる殉教者や、武士道という哲学を優先し切腹で命を落とす侍などのイメージです。それだけ他のものに影響されにくい思考があるということです。もはや問いに意味はなく、答えしかない世界とも言えます。
「鶏が鳴いたら朝が来る」というのは、ある意味で普遍的な、絶対化された考え方と言うこともできるかもしれません。ジョーンズの「自分の役割を疑いなく受容する」という言葉から、この雄鶏は「朝に鳴く」という役割を絶対的な理念として受け止め、人生での居場所を作っている、と考えられそうです。
カップは感情や共感を示すスートです。2は、2つのものがありそこにつながりができる数字。2つの心が交流する様子を示しています。ソードは物事を分割することで理解をしますが、カップは共鳴しつなげます。「これとこれはこういう点で違う」という理解か、「一緒だね〜」という共感かです。共感とは別々の関係ない物事を、これとこれは同じもの「っぽい」というなんらかの共通点によって、シンボリックにつなげていくことでもあります。
「鶏が鳴くこと」と「朝が来ること」は、別々の関係ない物事ではありますが、そこにはシンボリックな共感的つながりがあります。鶏が鳴けば朝だし、朝になれば鶏が鳴く。鶏の鳴き声は夜明けのシンボルです。これがカップ2的な表現と考えられそうです。
こうしたことは目的カードであるソード4、知的安定のために行われます。夜明けに鳴くという鶏の役割の普遍的・絶対的理念、そして鶏の鳴き声と夜明けの間の共感的つながりによって、「今日も鶏が鳴くから朝が来る」というパターンは崩れることなく、安定化されます。
普遍的・絶対的思考と、2つのものの共感的・シンボリックなつながりにより、知性の安定化を目指す度数です。
この度数に太陽を持つ人物にニーチェがいます。ニーチェの「神は死んだ」という言葉は、ソード10的な絶対的信仰の時間を終え、カップ2的な朝を迎える、更新を告げる言葉だったとも感じられます。
スプレッド
1.雄鶏
2.日の出
雄鶏は、宇宙と同調した個人です。
日の出は、まだ現れていないが現れつつあるものです。
雄鶏は日の出の出現に声を与えます。
リーディング結果
1.雄鶏:吊られた男
2.日の出:ソード9
吊られた男の雄鶏、自分の身を捧げることで宇宙と同調し、まだ現れていないが現れつつあるものに声を与えている。
ソード9の日の出。これまでの答えに縛られない新たな方向性への思考が、まもなく現れようとしている。
みなさんのカード
本日もトライありがとうございました!
21度
22度
天秤座前半
参考:サビアン研究会、Dane Rudhyar「An Astrological Mandala」、「The Astrology of Personality」、Marc Edmund Jones「The Sabian Symbol In Astrology」、アンソニー・ルイス「完全版タロット事典」、Paul Huson「Mystical Origins of the Tarot」、「ピカトリクス」
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