天秤座17度「引退した船長が港に出入りする船を見ている」

この「サビアンシンボルのタロットワーク」では、サビアンにタロットを使って二つのアプローチをしています。一つはサビアンのビジュアルイメージからスプレッドを作り、実際にカードを引いてリーディングしてみること。これは「その度数におけるその人の発達状態」を読み解く取り組みです。もう一つはその度数に対応するカードから、サビアンシンボルを考察してみることです(対応表はこちらにあります)。

解説の要約

ルディア:引退した船長が港に出入りする船を見ている

船長はかつて深く関わった経験、危機の克服やピーク体験を静かに回想しています。それが客観的で落ち着いた理解へ到達することもあります。知恵や内面の静けさは葛藤の克服がなければ育ちにくいものです。闘争と勝利を超えた「穏やかな精神」が描かれています。

ジョーンズ:引退した船長

人間の世界を不屈に維持させてきた経験は、人生の終わりにはすっかり個人の楽しみとして思い出されるでしょう。人生経験から学んだ教訓に忠実であれば、新しい事業に乗り出す際の揺るぎない姿勢につながります。優先順位の高い問題に焦点を合わせる才能によって、自己完結した完全性があります。キーワードは「休養、くつろぎ」。

タロット対応

この度数のタロット対応はソード3/ワンド3。引き続き、ソード3の知的発展が目的となります。

どのサインでも、17度では目的と手段のカードの数字が同じになります。天秤座では3の数字が重なりました。同じ数字の行動スタイルが共通しているため、3の示す創造性や発展性が強調されています。シンボルのイメージからはあまり生産的な印象は受けませんが、精神性(ワンド)と知性(ソード)は発展していると考えるのがよさそうです。

ウェイト=スミス版のワンド3の絵とは、「船を眺めている人」という共通点があります。この度数はカードの絵とそのまま共鳴したタイプ。ウェイト博士によると、これは自分の持ち物である商船が商品を積んで行き来しているのを見ている人物です。

ワンド3には冒険心というキーワードが当てられることが多いです。船長は、引退してはいるもののまだ冒険心がありそうです。単に過去を回想しているというより、新たな情熱を燃え立たせているのかもしれません。ただしソードの客観性も効いているため、前のめりになって進んでいく感じでもありません。

16度船着き場のワンド2では、無意識と自我意識という二つの意識のリンクが問題となっていました。17度になるとそのリンクが回復しており、無意識と自我意識を自由に行き来する船をさらに第三の視点から眺める船長が描かれています。こうした二つの意識の対立から離れたもう一つの意識の存在があると、新しい意識のあり方がいろいろな発展をしていきそうです。

また、見ているだけで自分は乗船していない、という元船長の立場は、ソード3の客観性の発展にもつながっていきます。無意識側の視点と自我意識側の視点だけだと「あれかこれか」になりやすいですが、第三の視点があると「こういう視点もあるよ、ああいうものの見方もあるよ」と三者間で知性が発展していきます。

ルディアの言う「闘争と勝利を超えた穏やかな精神」とは、ワンド2滴な無意識と自我意識の二元的構造を超えたワンド3の精神が、ソード3的な冷静さと客観性を持っている様子と言えます。新しい情熱の発展と、客観性による知性の発展が同時に起こっている度数です。

今のところ、カードの数字が共通のときは目的と手段がはっきり別れておらず、それらが混ざり合っている印象もあります。

スプレッド

1.船長
2.港

船長は、客観的で落ち着いた理解です。

港は、かつて深く関わった経験です。横位置のカードは逆位置を取りません。

リーディング結果

1.船長:ワンドキング逆
2.港
:女教皇

ワンドキング逆の船長。引退する前は正位置で、自分のやりたいことガンガンやっていた自我の強い人物だった印象もあります。それが引退して落ち着いています。

女教皇の港。過去、ワンドキング船長は女教皇的な受容性の世界で、自分の自我を押し通して航海してきましたが、今は遠くからそれを客観的に見ています。キングは発信の力、女教皇は受信の力でプラスマイナスの相性がよいようにも思われますが、今は引退している。

女教皇の2という数字は、船長がかつて経験してきた16度のワンド2と関連しているようにも。海と陸の二つの意識そのものを女教皇が示しているとも考えられます。もしかしたら、カードを「港(陸の自我意識)」「船(海の無意識)」「船長(第三の意識)」という3枚で引いてみてもいいかもしれません。

みなさんのカード

本日もトライありがとうございました!

14度

15度

16度

参考:サビアン研究会、ルディア「An Astrological Mandala」「The Astrology of Personality」、ジョーンズ「The Sabian Symbol In Astrology」

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