蟹座29度「黄金の天秤で新たに生まれた双子の体重を計るギリシャのミューズ」

ミューズはギリシア神話で文芸・学術・芸能を司る女神たちのことです。人間に創作のインスピレーションを与える女神なので、この赤ん坊にも霊感を授けている、もしくは体重だけでなく双子の学芸についての将来の才能を計っている図とも見えます。

ミューズは人間の知性よりも深い、あるいは高いところにある力の働きの象徴です。それは直感的な心であり、もしくは心理学的に言うなら自我意識を集合無意識に関連づける精神機能でもあります。

天秤で計られている双子の赤ん坊は、個人に与えられた選択肢であったり、補完しあう人格と理性を示しています。自分自身を知り、それによって自分の完全さを実現する2つの方法でもあります。ミューズの直感的な心がこの2つのものが一体なんなのかを示し、ときにはそれらを組み合わせる方法を見つけます。双子がなにを象徴しているにしろ、可能性は一つだけではなく、もう一つあるということは確かです。

双子はまだ生まれたばかりで、これから新しい歴史を作っていく存在です。2度の魔法のじゅうたんのとき、1度での決定によってこれから起こりうる経験や可能性が無限に展望されました。29度では神々からのさらに大きい視点で、赤ん坊たちの可能性について展望しているようです。しかもそれは一つではなく、2つになっています。

28度でネイティブ・アメリカンの少女が白人の恋人を部族に紹介しました。それは自分の共同体の中に異質な外部のものを持ち込む姿勢でしたが、やはり部族のメンバーが人数的にも多く、共同体の方が大きい比重を持っていました。29度ではその偏りはなくなり、両者の重みが同じになります。

天秤に乗せられているものは、蟹座がこれまでに作り上げてきた共同体と、もう一つ別の蟹座的共同体の存在かもしれません(ネイティブ・アメリカンと白人のそれぞれの共同体のように)。あるいはそろそろ終わりつつある蟹座と次の獅子座の世界を天秤にかけているのかもしれませんし、また別の可能性は一つ前の28度と次の30度の比較という読み解きもあります。

今回は「○○でもあるし、○○でもあるかもしれない」という文が多発してしまいましたが、こういう感じでもう一つの可能性を取り出し、それぞれの価値を吟味する姿勢がこの度数の働きとも言えそうです。

スプレッド

1.ミューズ
2.黄金の天秤
3.双子
4.双子

ミューズは知性よりも深い、あるいは高いところにある力です。全体性の不滅の洞察力を示します。

黄金の天秤は、補完的な2つの役割(双子)の効果的な結合です。横位置のカードは正逆を取りません。

2枚の双子は、自分自身を知り、自己の完全性を実現する2つの方法として読み解きます。

リーディング結果

1.ミューズ:ペンタ9逆
2.黄金の天秤:ワンド2
3.双子:ペンタ2逆
4.双子:ペンタ6

これは自分の土星の度数です。

ペンタ9逆のミューズ、物質的発展を求めないところにある直感や洞察。女神だから地上の物質的問題に影響されると役目が果たせない、という印象も。

天秤がワンド2、2つの意欲や存在の両立。絵は獲物が二手に分かれて逃げ、どちらを追うか決められない優柔不断なゾンビ。この「選択肢が複数あってそれが確定されていない」状態はまさにそのままという感じ。

横位置の絵をそのまま見ると、上のミューズと下の双子の間で両立する、とも読めます(ミューズが天秤を持っているのかと思ったら、天秤に二人の双子とミューズがそれぞれ乗せられている。この二重性もこの度数っぽいのかもしれない)。

双子、ペンタ2逆とペンタ6。2と6はどちらもつながりを感じさせる数字ですが、2が直接的なつながりなのに対し6は応用力のあるつながり。つながることでなにかお互いに生み出していくのが6、とも言えます。直接的にはつながらない赤ん坊と、応用力高くつながる赤ん坊、この2つの方法が自分を知り、自己の完全性を実現する2つの方法。

ペンタが多いのですが、逆位置と正位置が入り混じって繊細です。9を正位置的にやっちゃうと直感は失われるが、自己の完全性を実現するには6はやるべきで、しかし2にはならないようにする必要もある。

さらに2のカードも2枚あって、それぞれ「正逆取らない横位置」と「逆位置」であり同様の繊細さがあります。ワンド2は存在するけどペンタ2は存在させないようにする。

シーソーをやるのではなく、縄を2本使った縄跳びをひたすら飛び続ける、みたいなイメージも浮かびました。

みなさんのカード

26度

27度

23度

サビアンシンボルからタロットのスプレッドやワークを作っています。「そのサビアンシンボルの意味を探る」のではなく、「その度数におけるその人の発達の状態」を読み解く取り組みです。しかし個人の発達状態を通じてサビアンシンボルの元型を透かし見ることもできるかもしれません。
参考にしているのはサビアン研究会での学びと、ルディア「An Astrological Mandala」「The Astrology of Personality」、ジョーンズ「The Sabian Symbol In Astrology」。

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