蟹座16度「とても古い書物の助けを借りて、目の前のマンダラを研究している男」

マンダラは仏教における宇宙の縮図です。煩悩を消し、真理を会得し、仏性を得て宇宙と自分自身を一体化させる瞑想に使うものです。これは宇宙的な統合であり、心理的な統合でもあります。人は自分がどんな行動を取るのか、何に身を捧げるのかを決めたあと、その決定の結果を安定させるために自分の人格を様々なレベルで統合しなければなりません。この男は古い本の助けを借り、マンダラを研究することでそれを行おうとしています。

マンダラの中の仏が煩悩に侵された魔を踏みつけるとき、煩悩と仏の姿はまったく同じ姿で描かれることがあります。滅すべき煩悩と、その後に得られる真理の世界を同時に示しており、相反するエネルギーの統合が象徴されています。

15度の大宴会で物質的な豊かさを享受しましたが、それは飽食でもあり煩悩の影も感じられました。やはり一時的な喜びだったと感じ、よりしっかりとした形のあるものを拠り所にするために16度はマンダラを研究しているのかもしれません。

14度の年老いた男が暗い空間を瞑想しつづけたのとも似て、より精神的で内向きの集中があります。しかし16度はより構造化され、各要素が綿密に関係付けられ配置されたマンダラを、古い書物という根拠に基づいて理解しようとしています。

1度で掲げられた旗によって、自分の行動と身を捧げる共同体が決まっていました。ここではその決定の結果の安定のために、1〜15度の経験を統合し、きちんと構造化して理解すべきという必要性が生まれているのかもしれません。

スプレッド

1.男
2.マンダラ
3.古い書物

男は自分の決定を結果を安定させ、統合する必要性を示しています。つまり、自分の決定の結果が不安定になっている要因とも読めそうです。

マンダラは相反するエネルギーの統合、心理的かつ宇宙的な人格統合のプロセスを象徴しています。このカードは、仏と同じ姿で魔が描かれたように、滅すべきものとその後の真理を同時に示していると見ます。そのため正位置でも逆位置でも、それを反対にしたときの相反するエネルギーとの統合、と読みます。

古い書物はこのプロセスの助けとなってくれるもの、根拠となるものです。横位置のカードは正逆を取りません。

リーディング結果

1.男:ワンド4逆
2.マンダラ:ソード5逆
3.古い書物:吊られた男

ワンド4逆の男。安定を示す4の逆位置なので、まさに不安定となっている様子とも見えます。ワンドなので情熱や意欲の安定性が損なわれている。これを安定化するために男はマンダラを研究している。15度の大宴会が終わった祭りのあとの虚しさ、とも。

マンダラはソード5逆、これは正位置と逆位置の相反を統合すると見ますので、議論をすることとそれをしないことの統合。自分の主張をぶつけてしまうという煩悩に、仏がそれをしないよう滅する。これは心理的なレベルでもあり、同時に宇宙的なレベルの統合。

古い書物は吊られた男。自分に課せられる制約や制限が、この統合のプロセスの助けになる。修行感。

みなさんのカード

本日もトライありがとうございました!

14度

15度

サビアンシンボルからタロットのスプレッドやワークを作っています。「そのサビアンシンボルの意味を探る」のではなく、「その度数におけるその人の発達の状態」を読み解く取り組みです。しかし個人の発達状態を通じてサビアンシンボルの元型を透かし見ることもできるかもしれません。
参考にしているのはサビアン研究会での学びと、ルディア「An Astrological Mandala」「The Astrology of Personality」、ジョーンズ「The Sabian Symbol In Astrology」。

今日はさらに杉浦康平構成・岩田慶治監修「アジアのコスモス+マンダラ」も参考にしました。


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