蠍座10度「親睦会の晩餐で昔の仲間と再会する」

ルディアとジョーンズはここに「仲間」「同胞愛」といったキーワードをつけています。共同作業が生む社会的連帯感、集団的な人格や感情の出現、人々の交際や奉仕についての度数としています。

スプレッド

1.晩餐
2.昔の仲間

晩餐は連帯感。昔の仲間は、共同作業に参加した人々です。

リーディング結果

1.晩餐:ソード3
2.昔の仲間:カップナイト

ソード3晩餐、知性を発達させていく連帯感。カップナイトの昔の仲間は、感情表現豊かな人々。

カップナイトは頭よさげになっている晩餐から逃げ出していく方向へ進んでいる。

タロット対応

タロット対応だと、ここはカップ5(目的)/ソード7(手段)。

カードの絵からは「仲間」「同胞愛」という印象は受け取りにくいです。ただ、タロットの絵は、そのカードの本質の一面を示したものにすぎません。同様にサビアンシンボルのイメージも、その度数の本質の一面を表したもの、と考えることができます。

小アルカナの本質的な意味は、「スート(エレメント)」と「数字」から探っていくことができます。

カップ5:カップは水のエレメント。感情や共感、感受性。また、なにかとなにかが似ていると感じ、その間にシンボリックなつながりを作るための力です。5はショックやインパクト、破壊、衝突などを示します。カップ5は感情的なインパクトや、感受性に対する揺さぶりです。

カップ5は蠍座の第1デーカン(1度から、この10度まで)の目的カードでした。ここまでの考察では、カップ5はエンターテインメントの分野で心を揺さぶる驚きのインパクトを与えたり、あるいはこれまでの感受性や美意識にショッキングなやり方で「待った!」をかける、などの形で表現されています。

次の11度からの目的、カップ6の相互交流を準備するために、まず「こっちを見ろ!」とインパクトを与えてカップ的意識を活性化させる段階だったと言えます。

ソード7:ソードは風のエレメント。知性や情報、意見、なにかを分割し理解する力です。7はギャップを作り、一方通行的にエネルギーが突き進む数字。ソード7は知性や情報の格差を作り、そこに一方的なエネルギーの流れを作り出します。これは秘密や戦略(そこには必ず情報格差がある)といった形でも表現されます。

サビアンシンボルで7のカードが登場するときは、上下関係のある立場や、片方からもう一方に向けてエネルギーが吹き込まれていく様子が描かれることが多いようです。

蠍座8度(ソード5)ではこれまでと違う考え方をぶつけることで知的ショックを作り出し、蠍座9度(ソード6)は対話や相互の知的交流を行い、10度(ソード7)では落差によって知性を一方的に植え付ける、みたいな働きが起こりそうです。

このタロット対応から考えると、「親睦会」というシンボルはこんな風にもイメージできます。昔の仲間に久しぶりにあったら一人だけすごく賢くなっていて、その人から他の人々に高い知性や意見が一方的に流れ込み、そのことによって感受性へのインパクトが起こる、というように。

この度数に太陽を持つ人物

ジュゼッペ・シノーポリ

心理学と脳医学、そして現代音楽を学び、オペラやクラシック音楽の指揮者をするようになりました。その異色の経歴や衒学的な発言、精神医学の観点による音楽解釈から「知性派」と評されましたが、実際の演奏はダイナミックでドラマチックなものでした。ソード7的な知的格差を手段として、感受性にインパクトを与える演奏をした、と読むことができそうです。

他にも、女性の権利のため当時タブーだった避妊を提唱した作家ナオミ・ミチソンや、マルクス理論を推し進め「暴力論」を書いたジョルジュ・ソレル。この人々は高い思想に基づいて感情的なゆさぶりを作り出そうとしている。

「アモールとプシュケ」などで知られる新古典派の彫刻家アントニオ・カノーヴァは、歴史、考古学を学び、さらに人生の大半を解剖学の研究に費やしました。

現代彫刻家のリチャード・セラは、巨大な板金で空間を区切る作品を作っています。こちらからはなんの影響も与えられない、また向こう側を完全に覆い隠してしまう圧倒的な「境界線」はソード7的と言えます。

みなさんのカード

本日もトライありがとうございました!

8度

9度

参考:サビアン研究会Dane Rudhyar「An Astrological Mandala」「The Astrology of Personality」Marc Edmund Jones「The Sabian Symbol In Astrology」アンソニー・ルイス「完全版タロット事典」

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