蟹座14度「とても年老いた男が北東に向かって広がる暗い空間に向き合う」

年老いた男は、あらゆる象徴体系に見られる元型的人物「老賢人」です。ユング心理学では理性と智慧の原理、経験による堅実な判断を下す父親元型です。

北東とありますが、彼が向いているのは真北だとルディアは言います。これには少し説明が必要になりそうです。

まず天文学的な話として、地球が自転する際の軸、地軸は、公転軸から約23.4度傾いており、それによって季節の移り変わりが生じます。地軸の北半球側の極が真北、南半球側の極が真南となります。

地軸はとても長い期間で見ると変化しています。コマを回したとき、コマの軸の傾きがゆっくり回転していくのと同じように、地球の地軸も回転するのです。これを歳差運動と言い、約25,800年の周期を持っています。そのため真北を示す北極星も時代によって変化し、現在はこぐま座α星ポラリスが北極星ですが、紀元前1,100年頃はこぐま座β星コカブ、紀元前3,000年頃はりゅう座α星トゥバンが北極星でした。時代によって「真北」の方角も変わっているのです。

ギリシャ神話では、太古、人間が神々と共に暮らし、調和と平和に満ち溢れる「黄金時代」があったとされます。これはゼウスが支配する前、クロノスが神々を支配していた頃です。そしてこの時代には「永遠の春」が続いていました。

「永遠に春が続く黄金時代=すなわち季節変化がない=すなわち地軸が公転軸からまったく傾いていない時代」という考えがルディアにあったようです(これは神智学の伝統で語られている考え方かもしれません)。地軸の傾いていない黄金時代の真北と、現代の私たちの真北にはズレがある。

このシンボルの年老いた男が向いているのは黄金時代における真北で、それが今の私たちにとっては北東に見えるのです。天文学的な真北は時代により変化しますが、黄金時代の真北は本当の意味での「不変」と言えるかもしれません。

男は広大な暗黒空間と向き合っています。これは一見恐怖かもしれませんが、彼にとってこの暗闇は見かけ上のもので、私たちの感覚では見えない強烈な光を感じているかもしれません。これは闇を瞑想し続けることにより、至高の過去、おそらく黄金時代からの智慧を得ようとしている姿だと言えそうです。

スプレッド

1.年老いた男
2.暗い空間

年老いた男は、暗い空間を一貫して長い間瞑想することで、至高の過去からの智慧を得ています。

暗い空間は、全ての経験の根底にある不変の霊的現実です。

リーディング結果

1.年老いた男:愚者
2.暗い空間:悪魔

年老いた男は愚者、賢人なのに愚者・・・。智慧、得ている? 暗黒空間の広漠たる無と一体化してしまっているようにも見えます。大いなる智慧の前では自分とは何者でもない、無に等しい存在なのかもしれません。

暗い空間は悪魔。人間を惑わす空間なのでは。そもそも本当に地軸が傾いていない黄金時代なんてあったの?という疑惑も浮かびますが、それでも「当然あった」と語りかけてきそう。

全ての経験の根底にある不変の霊的欲望。それを瞑想し続けることによって無となる男。

みなさんのカード

本日もみなさまどうもありがとうございました!

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サビアンシンボルからタロットのスプレッドやワークを作っています。「そのサビアンシンボルの意味を探る」のではなく、「その度数におけるその人の発達の状態」を読み解く取り組みです。しかし個人の発達状態を通じてサビアンシンボルの元型を透かし見ることもできるかもしれません。
参考にしているのはサビアン研究会での学びと、ルディア「An Astrological Mandala」「The Astrology of Personality」、ジョーンズ「The Sabian Symbol In Astrology」。


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